沖縄本島や周辺の離島に大量の軽石が漂着し長期化しています。
軽石なので海には沈まず水面に漂うことで、いろいろ問題になっているようです。
沖縄の観光もこれからっていう時なのにどうなるのでしょう。
この軽石がどこからきて、どんな影響があるのか、元の綺麗なビーチに戻るのか気になったので調べてみました。
大量の軽石はどこからきたの?
沖縄から東に約1300kmほど離れた、小笠原諸島付近の海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」から流れてきたとみられています。
海底火山「福徳岡ノ場」は8月に噴火しており、今回台風による風によって速いスピードで大量に吹き寄せられたため軽石が砕ける前に沖縄に漂流してしまったんですね。
また、産業技術総合研究所(産総研)と気象庁のチームは、今回の噴火を国内で陸海含め戦後最大規模だったと分析。煙の高さは成層圏に達する約16~19キロ・メートルで、軽石や火山灰などの噴出量は少なくとも約1億立方メートル(東京ドーム約80杯分)と推定した。
読売新聞より引用
東京ドーム約80杯分って想像もできない量ですが、その大部分が流れ出しているということでしょうか。
火砕流の堆積(たいせき)物は比較的硬く、島が波に削られるのを防ぐ効果があるようだ。それでも、軽石や火山灰などでできた島は軟らかく、この1カ月で面積は3分の1に縮んだ。
朝日新聞より引用
噴火でできた島は2カ月経ってもう1/3になったということで、それだけの火山灰や軽石が海に流出しているんですよね。
35年前にも「福徳岡ノ場」の噴火で沖縄に軽石が漂流したことがあるそうですが、その時は黒潮反流という海流でゆっくりと運ばれたためか大半は砕け、これほど大量ではなかったそうです。
火山について詳しい琉球大学の加藤祐三名誉教授は、1986年に同じ海底火山の噴火で噴出したと見られる軽石が沖縄本島に漂着した際の調査にあたっていました。
今回の状況について加藤名誉教授は「前回より桁外れに噴出物が多いことに加え、軽石どうしがぶつかりあって砂状になって海底に沈む前に、台風による強い風で短時間で沖縄に吹き寄せられたため、量が多くなってしまった」と分析しています。
沖縄県によると、漂着は10月上旬位から始まり、本島の北部を中心に全域で確認されているとのこと。
海上保安庁HPより引用
地元漁協によると、1日約10トンを撤去しているが、次から次へと流れ着く状態だという。
波打ち際から砂浜にかけて幅約20メートル、長さ約200メートルの範囲で確認できた場所もあります。
潮の満ち引きによって、朝見るとウソのように無くなっている時もあるそうですが、それも一時でまた流れ着いてしまうようです。
沖縄の青い海、白い砂浜が黒い軽石で埋め尽くされているなんて悲しすぎます。
軽石の影響や被害は?
国頭村の辺土名(へんとな)漁港では、いけすの「グルクマ」が約150匹も死んだのだそうです。誤って軽石をのみ込んだのではないかとのこと。
久米島沖で泳ぐマンタがプランクトンを吸い込む際に軽石を飲み込み、ふんとして大量に排泄される映像も公開されていました。
漁業やフェリーなど船の運航にもかなりの影響が出ているようです。
島に帰れず足止めされている方も出てきています。
離島ではタンカーが運行できないために、灯油やガソリンが運べず、島民の足となる車が使用できなくなると心配されています。
「どんどん流れてくるため、除去してもいつまでも終わらない。」
自然が相手では、流れをとめることは簡単ではないですよね。
運航会社によると、船の装置やエンジン部分に軽石が入ってしまい除去を頻繁に行わなければならず故障の原因となり、対応に追われているようです。
10月27日の報道では、750隻の漁船が軽石によるエンジントラブルで漁に出られなくなっていると言っていました。
マリンレジャーや観光にも大きな影響が出ています。修学旅行などのキャンセルも出ているようです。
せっかくコロナが落ち着いてきたところなのに、頭が痛いですね。
長期にわたって軽石が海面に滞留すると海中に太陽光が届かなくなり、藻類の成長が妨げられることも考えられ「魚類の生息地や餌などに大きな影響を及ぼす可能性がある」とも。
サンゴへの影響も懸念されていますが、滞留するのは岸に近い場所なので今後の調査が必要になりそうです。サンゴが軽石とぶつかることで傷がつく可能性もありますよね。
専門家は今後さらに漂着する可能性も高く、影響は長期に及ぶ可能性がある。一種の火山災害だとも言っています。
回復までには1~2年はかかるのではと言われており、漂着した軽石が小さくなって沈んだり流されて移動しないことには元のこのような美しいビーチには戻れないということですね。
ビーチに乗り上げた軽石は、そう簡単には海に戻りそうもないですよね。
かなり深刻なうえに、除去する効果的な対策もなさそうです。
漂流した軽石は今後どうなるの?
漂着した軽石は1~2年経過すれば波にさらわれ再び海に漂流したり、黒潮によって本州へ流れたり、石同士がぶつかり合って割れることで浮力を失い海底に沈んでいくようです。
それも、長い時間をかけてということで、早急の解決策ではないですね。
良い方法は無いのでしょうかね。自然が相手なので予測もできませんね。
沖縄周辺に漂流している軽石の一部は今後黒潮にのって北上し、すでに四国や本州の沿岸に接近しているようです。11月下旬にかけては静岡や千葉県などにも接近するということです。
沖縄のように大量に流れつくわけではないのかもしれませんが、海岸や漁港への影響は少なからずありそうですね。
漂流した軽石は安全?拾ってもいい?
ビーチに流れ着いた軽石に興味を持つ人は多く、袋に詰めて持ち帰る人も出ているようです。フリーマーケットやメルカリに出品されて売買もされているのだとか。
当初沖縄県の防災課では、成分などの安全性はまだはっきりしないので、拾うのは控えるようにと言っていましたが、11月17日には軽石の分析結果が発表されました。
結論から言うと、サンプルを分析した結果、『土壌環境基準を満たしている』ということでした。
土に軽石を混ぜると空気を多く含み、植物の生育が良くなるということで、庭や植木用に軽石を利用している人も多いそうです。粘土の高い沖縄の土壌には土壌改良に活用できるということで、除去した軽石の活用を見込んでいるようです。
安全性が確認されたのであれば、建築資材や農業資材として有効に活用できるのはいいことですよね。
ただ、園芸用の軽石は一般的には人工的にガラスなどから作られているそうで、漂流してきた軽石は塩分を含んでいるので、家庭での園芸用には向かないのだそうです。
更に、私有地などのビーチでは所有者の承諾が必要だったり、国立公園などは採取するのに許可がいるそうなので、安易に拾うのはお勧めできないようです。
とはいえ、漂流してきた軽石が厄介者なのには変わりなく、取り除くのにはまだまだ時間がかかりそうです。
まとめ
今回、沖縄や周辺のシマに軽石が大量に漂流、漂着しています。原因は、8月に噴火した海底火山「福徳岡ノ場」からの火山灰や軽石が流出したことと見られています。
漂着を始めてからすでに10日以上たっていますが、次々と押し寄せる軽石の被害は拡大する一方のようです。除去するのもなかなか困難な厄介者の軽石。
漁船や漁港、マリンレジャーや観光、生態系への影響やサンゴまで様々なところに影響が出ています。更なる拡大も考えられるそうです。
拾ったりするのも今のところは控えた方がよさそうですが、大量に除去した軽石の処分も考えなくてはならないのでしょうね。
元に戻るまでには1、2年はかかりそうとのことで、あの綺麗だった沖縄の海を取り戻せるのか、今後どうなっていくのか、自然を相手に経過が気になります。